女性警官の漢気に惚れる! 『炎のデスポリス』ネタバレあらすじや感想

アクション

『炎のデス・ポリス』 ネタバレあらすじ

謎の被疑者たち

ネバダ州ガンクリーク警察署に勤務する若き黒人女性警察官ヴァレリー・ヤング(アレクシス・ラウダー)は、カジノでの乱闘騒ぎの無線連絡を受け、現場に急行します。
乱闘を鎮圧しようとしたヤングですが隙を突かれ、テディ・マレット(フランク・グリロ)に殴られてしまいました。
テディは警官を暴行した罪で逮捕され、警察署に連行されます。

テディの取調べを進めると体に銃創が発見され、どうやら彼は何か訳ありで、保護してもらうためにわざと逮捕されたようでした。
同時刻、テディの乗り捨てた車両を調べていた警官の前に飲酒運転の車が突っ込み、酔っぱらいの男も署に連行されます。
留置場に入った酔っぱらいはテディの前で正体を明かしました。
酔っぱらいはボブ・ヴィディック(ジェラルド・バトラー)という名うての殺し屋で、テディを始末するため彼もまたわざと逮捕されたのです。

やがて署で没収されたボブの私物から煙が上がり、混乱に乗じてボブは署長から銃を奪うと、テディを殺そうとします。
しかし、間一髪のところで駆け付けたヤングによって暗殺は阻止されました。
2人の素性も目的も分からないヤングはテディを脅し、詳しい事情を白状させます。

実はテディは大物フィクサーで、世間を騒がせている司法長官殺害事件にも関与していました。
カジノ絡みの件でマフィアに依頼されたテディは司法長官を買収しようとしましたが、長官は断固拒否。
そのためマフィアは長官を暗殺したのです。
しかし、テディの買収工作は録音されていました。
証拠を握られたテディは罪を逃れようとFBIとの取引に応じますが、それはマフィアにとっては裏切り以外の何者でもありません。
しかも彼はどうやらマフィアの金も持ち逃げしているようです。
テディはマフィアに命を狙われるようになり、汚職警官に殺されかかったところを這う這うの体でここまで逃げてきたのでした。
ボブもマフィアが雇った殺し屋の一人というわけです。

新たなる刺客

緊迫する警察署に一人の男が誕生日祝いの風船を持って現れました。
男はサブマシンガンを乱射し、署内の人間を血祭りに上げます。
男もまたマフィアが送り込んだ殺し屋、アンソニー・ラムでした。
ヤングも応戦しましたが、自らの跳弾によって負傷し、留置場へと立て籠もります。
アンソニーとボブは面識はあるものの、お互い商売敵のようでした。
一方、同僚のヒューバーもマフィアに買収されており、署長を殺すとアンソニーと共に留置場へ侵入すべく壁を壊し始めます。

腹部に被弾したヤングに時間はあまり残されていませんでした。
このまま座して死を待つか、それともテディかボブに鍵を渡し、事態の打開を図るか…。
2人とも、助かるために自分に鍵を渡すようヤングに懇願しますが、どちらも信用できる人物ではありません。
ヤングは最終的にテディを信じ、救急キットを持って戻ることを約束させると、鍵と銃を渡しました。
同時にボブの話によって、テディの別れた妻子はアンソニーによって殺されたことを知ります。
怒りに駆られたテディは復讐を果たすべくアンソニーを探します。

アンソニーに奇襲をかけたテディは、あと一歩のところで逃げられてしまいました。
ボブはなおもヤングを説得し、彼女は事態打開のためにボブにも鍵を渡します。
ボブはヒューバーを囮にすることで、テディよりも先にアンソニーを追い詰めます。
ところが、そこへテディも登場し、一時休戦を申し出るボブを撃つと、ついにアンソニーに止めを刺しました。

裏切り

復讐を遂げたテディ。しかし彼はヤングを助けに戻る様子は見せず、それどころか証拠を隠滅しようと署に火を放ちます。彼はやはり詐欺師でしかなかったのです。
テディが最後にキッチンで腹ごしらえをしていると、何故か使用済みの救急キットがあることに気付きます。
そこには手当を施されたヤングの姿がありました。
対峙する二人…。テディがポリタンクを撃って爆発させ、最後の戦いの幕が開きます。

激しい銃撃戦を制したのはヤングでした。
弾切れになったヤングは同僚の残した一発の銃弾に救われたのです。
全てを終わりにすべくテディに銃口を定めるヤングでしたが、またも汚職警官の邪魔が入り、撃たれてしまいます。
窮地に陥った彼女は、またもボブに救われることになりました。
ボブは負傷せず、逃げてもいなかったのです。
ボブは汚職警官を射殺し、今度こそテディをショットガンで吹き飛ばしました。

テディ暗殺の任務に成功し、テディの持ち逃げした金に繋がるバッグ、おまけに懸賞金がかかったアンソニーの文字通り“賞金首”まで手に入れたボブは、署に応援が来る前に意気揚々と引き揚げます。
緊急車両で搬送されていたヤングは、ボブが警察車両を奪い逃走していることを無線で知ります。
命を助けられはしたが、悪党は悪党。
ヤングは緊急車両をUターンさせ、満身創痍のままボブの追跡を開始するのでした。

感想 アクションスターの無駄使い?バトラー濃度薄めの午後のロードショー的作品

B級感にどっぷり浸かったポスターを一目見ただけで分かるように、テレビ東京の午後のロードショーが大変よく似合う作品です。
広告等のアートワークも、本作がどういったものかをきちんと理解しており、ぱっと見で何となく内容が分かってしまうのは好感が持てます。
タイトルにしても、普段は配給会社がとんでもない邦題をつけてしまうことが多いなか、これは逆に原題よりも優れた分かりやすいタイトルです。
何しろ原題は「COP SHOP(警察署)」ですよ。
まあ、内容は確かにその通りなんですけども、これではいくら何でも素っ気なさ過ぎるでしょう。
その点、「炎のデスポリス」ならB級テイストが伝わってくるし、警官がたくさん殺し殺され、最後は署も炎上するわけだから、噓偽りのないタイトルであるわけなのです。

さて、キャストの方も、この人が出演すると映画としての偏差値は下がるが男臭いアクションは保証されるジェラルド・バトラーと、同様にムサい筋肉モリモリマッチョマンのフランク・グリロの二人が主演ということで、午後ロー好きのボンクラとしてはまず期待してしまいます。
で、実際にはバトラーは今までの濃過ぎるキャラの味付けを薄めにしてちょっとイイ奴(でも殺し屋)を演じたり、グリロは今回大物フィクサー役なので筋肉をむき出しにせず小洒落た格好の詐欺師を演じたりして、二人とも微妙に路線が違う感じ。
しかし、意外にも本作で一番「漢気」を感じさせてくれるのは、アレクシス・ラウダー演じる女性主人公ヴァレリーなのでした。
いや、本当にこのキャラはメチャメチャ好感度高く、その気っ風の良さや正義感の強さ、アクションの思い切りの良さまで全てが主人公の条件を満たしているのですよ!
見ていて、この女優さんは素でもこんなキャラに違いない!と思ってしまう程なのですが、どうやらアレクシス本人もこのキャラに近いらしいです。
そしてもう一人、本作で重要なのがサイコパスの殺人鬼アンソニー・ラム(「羊たちの沈黙」のレクター博士役アンソニー・ホプキンスに羊のlambを足すというふざけた名前)です。
物語の前半はずっと留置場での地味な展開が続くのですが、後半にこのキャラが登場して以降、一気にドンパチが始まるので、ゲームチェンジャー的役割と言えるでしょう。
歌いながら人を殺しまくり、面白トークも出来る彼の陽キャぶりはちょっと見習いたいと思いました。
とにかくこのヴァレリー、テディ、ボブ、アンソニーの4人が揃い、それぞれの思惑が交錯し、そして殺し合うのが本作の見どころなのです。
監督がジョー・カーナハンなので、それって「スモーキン・エース」では?と感じる部分が無きにしも非ず。
でも、どちらにしてもクセのある連中のバトルロイヤルは楽しいのでヨシとしましょう。
ただ、アクションに定評のある主演2人を使っているのだから、もう少し派手なファイトが欲しかったところ。
ちょっともったいなさを感じます。
その分、2人のキャラの企みが見えず、心理戦の駆け引きの面白みはあるのですが…。
本作は、いつもギトギトに男臭いジェラルド・バトラーにしてはあまり濃さを感じない内容でした。
むしろ主人公として申し分のない演技だったアレクシス・ラウダーに喝采を送りたいと思います。

今どきリボルバーが活躍する西部劇的雰囲気がよい

本作の舞台はほぼ全編、警察署。
このガンクリーク警察署はネバダの砂漠地帯にあり、なんとなく映画全体の雰囲気も西部劇風であります。
特にそれが顕著なのが登場する銃器で、主人公ヤングが愛用するのはなんとスターム・ルガーのブラックホーク(正確にはニューモデル・スーパーブラックホーク)!

同僚も同じくレッドホーク(ブラックホークをダブルアクションにしたもの)を所持しており、2人して早撃ちを競ったりしています。
ブラックホークはリボルバーという点だけでも不利なのに、コルトSAAをベースにしたシングルアクションなのでシリンダーがスイングアウトせず、したがってリロードにスピードローダーを使うことができません
それどころか排莢・装填だって、ローディングゲートを開いて1発ずつおこなうのです。
そんなんで銃撃戦ができるか!そこでヤングは、装填してあるシリンダーを常時携帯しており、リロードの際はベースピンを抜いてシリンダーごと交換してしまうのです。
これも西部劇でたまに見る描写ですね。
さらに、終盤ではここぞ!という場面で同僚のレッドホークが登場し(これはスイングアウトするのでちゃんとスピードローダーでリロードしている)、こんなにアナログな銃が活躍する現代劇もなかなか珍しいでしょう。
昔はブラックホークといえば漫画「ドーベルマン刑事」が有名でしたが、やっぱりこの銃は硬派で漢気全開な者にこそ相応しいですね。
主人公にピッタリのチョイスであり、ある意味この映画を象徴するアイテムだと思います。