シスターフッド映画の快作!トゥワンダ!『フライド・グリーン・トマト』ネタバレあらすじや考察・感想

ヒューマンドラマ

ニニーとの出会い

肥満体型の中年女性エヴリン・カウチは、これまた肥満体型の夫エドと共にアメリカ南部アラバマ州の老人ホームへ、義叔母を訪ねてきました。
ところが義叔母は認知症のためか大層機嫌が悪く、二人に会おうとしません。
エドが義叔母をなだめている間、エヴリンはロビーでニニー・スレッドグッドと名乗る入所者と知り合います。
ニニーはエヴリンに自分の義妹イジー・スレッドグッドについて語り始めました…

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時は第一次世界大戦後のアラバマ州、後にニニーが嫁ぐことになるスレッドグッド家は大家族でした。
その日、イジーは長姉レオナの結婚式だというのに部屋に閉じこもったり、兄ジュリアンとケンカしたりで皆を困らせます。
そんな中、誰からも愛される長兄バディは優しくイジーをなだめるのでした。
ニニーも好きだったというバディですが、彼が心を寄せていたのはスレッドグッド家にひと夏の間だけ滞在していた少女ルースでした。
バディは式後のパーティーを抜け、イジーとルースを連れ、散歩に出かけます。
バディとルースはすっかり恋仲にあるようでした。
その時、風でルースの帽子が飛ばされます。
帽子は風に乗って線路の方まで転がっていきました。
やっと帽子を捕まえたバディでしたが、その拍子に彼の足が線路の間に挟まってしまいます。
そして運の悪いことに汽車がやって来たのです。
バディは必死にブーツを外そうとしましたが間に合わず、汽車に轢かれて命を落としてしまうのでした。
誰よりもバディを慕っていたイジーのショックは大きく、それ以来固く心を閉ざしてしまいます…。
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そこまで聞いたところでエドが戻って来て、エヴリンたちはニニーに別れを告げます。

イジーとルースの友情

エヴリンたち夫婦は倦怠期にありました。
その状況を打破すべくエヴリンは夫婦仲を改善させるセミナーに出席しているのですが、講師は自分をセロハンでラッピングして色仕掛けせよ、などと頓珍漢なことばかり言っています。
エドもエヴリンがそんな格好をしたら精神病院に連れて行く、とにべもない反応です。
そもそもエドは帰宅してもTVにかじりつき、食事すらエヴリンと一緒にとろうとしないのでした。

次に二人が老人ホームを訪れた時も義叔母は同じ調子でした。
そして今度もニニーに会ったエヴリンは、先日の話の続きを聞きます。

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歳月が過ぎ、少女からうら若き乙女となってもイジーはバディの死から立ち直れずにいました。
ほとんど家に寄り付かず、今では世捨て人のような生活を送っていたのです。
ある夏の日、母に呼ばれて家に戻ったイジーは久しぶりにルースと再会します。
イジーは早々に家を出てしまいますが、ルースはイジーの力になるため、度々彼女につきまといました。
馴染みの酒場リバー・クラブ、釣り場の堰堤…イジーのいる所に度々現れるルースを最初はうとましく感じていましたが、ある夜イジーはルースを連れて貨物列車に忍び込みます。
そしてイジーは貨物の中の食料品を、線路沿いにテント生活をしている貧民たちに向かって投げ始めたのです。
教会に通う人たちはお祈りだけで何もしない」とイジーはその偽善を指摘しました。
さながら義賊のようですが、ルースもいつの間にか夢中で貧民たちに積荷をバラ撒きました。
ルースが一緒に行動してくれたことと、絶対に無理だと思われた汽車からの飛び降りを成し遂げたことで、イジーはこの夜を境に一気にルースと仲良くなっていくのでした。

次に二人は野生のハチミツを採取に出かけます。
まったくハチに刺されることなく巨大なハチの巣から蜜を取り出すイジーに、ルースは「ビー・チャーマー(ハチに好かれる者)」とニックネームをつけました。

もはや親友となったルースの誕生日、イジーは馴染みの酒場で馴染みの仲間たちとルースのお祝いをします。
厳格に育てられたルースにとって縁のなかった酒・ポーカー・野球に興じ、ルースは「今までで最高の誕生日」と喜びます。
しかし、ルースはこの夏が終わったら結婚して遠くジョージア州まで行ってしまうことが決まっていたのです。
その後、結婚式の招待状が来てもイジーは返事を出さず、それでも式の当日わざわざジョージアまで車を飛ばし、ただ遠くからルースの晴れ姿を見守るのでした。
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相変わらず、エヴリンの通う女性のための講習はくだらない内容でした。
今度は女性の力を奪回する、として自らの女性器を手鏡で観察するのです。
ところが、エヴリンは太り過ぎていてそれが不可能でした…。
それでも夫婦関係の改善に前向きなエヴリンはエドに旅行を提案しますが、やっぱりエドは乗り気でありません。
この頃になると、エヴリンは義叔母のためではなくニニーに会うために老人ホームを訪れるようになります。
その日もニニーは若々しく髪を紫色に染め、話をせがむエヴリンに語って聞かせました。

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ルースの結婚後は彼女のためにもう二度と会わない、と決めていたイジーでしたが、数年後ついに我慢できずにルースの家を訪ねます。
ルースはイジーとの久しぶりの再会だというのにどこかよそよそしく、顔には夫のフランクに殴られた痣ができていました。
イジーは激怒しますが、早々にルースに追い返されてしまい、その時は何もすることができませんでした。

しばらく後、ルースは母を亡くしたことをきっかけに、イジーに助けを求める手紙を送ります。
イジーはすぐに兄のジュリアンと使用人のビッグ・ジョージを連れてルースを迎えに行きました。
引っ越し準備中、フランクに見つかり暴力を振るわれましたが、ともかくもルースはお腹の子と共にイジーの実家に避難することができました。
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エヴリンはスーパーマーケットで見知らぬ男から「デブ」と罵られたことをきっかけに、際限なく食べてしまう自分に嫌気が差し、ニニーの前で泣き崩れました。
ニニーはエヴリンが更年期障害にあることを見抜き、治療のアドバイスをします。
そして、自分は更年期になる直前になって子供を授かったこと、その子が障害を持っていたこと、30歳で亡くなるまでいかにその子を愛していたかを語りました。

ホイッスル・ストップ・カフェ

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ルースはスレッドグッド家で新生活を始め、無事に男の子を出産しました。
名前はかつて愛したイジーの兄バディからとって、バディ・ジュニアと名付けます。
それを機に、イジーの父はルースとイジーのために借金をし、ホイッスル・ストップ・カフェを開業しました。
差別が横行していた時代にありながら、カフェでは貧しい人々や黒人であっても分け隔てなく、全ての客を平等に受け入れます。
浮浪者同然のスモーキーも使用人として雇い、小屋に住まわせました。
しかし、差別主義者たちにとってそれは許されないことでもありました。
そんなレイシストの一人であるフランクは、KKK(クー・クラックス・クラン)の集団を連れ、ルースとの子供を連れ去ろうとします。
その時は子供の連行に失敗しましたが、黒人であるビッグ・ジョージはKKKたちのリンチによって負傷してしまいました。

町のお祭りの日、ルースもイジーも不在の隙に、再びフランクは銃で武装して戻って来ました。
フランクは抵抗するスモーキーら使用人たちを殴り倒し、子供を拉致します。
そして車に乗ろうとしたところ、何者かにフライパンで後頭部を強打され倒れました。
その後、フランクの姿を見た者は誰もいませんでした。

翌日、ジョージア州から失踪したフランクの捜索にスムート保安官がやって来ました。
保安官は最初からイジーとビッグ・ジョージを犯人と決めつけ、脅しをかけてきます。
自分が来たせいでイジーたちに迷惑をかけてしまった、と自責の念に駆られるルースでしたが、イジーはルースのいる今こそが幸せだと語ります。
さらに、フランクの襲撃を恐れるルースに「フランクは二度と現れない」と断言するのでした。
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エヴリンはスーパーマーケットでまたしても理不尽な目に遭います。
混んでいる駐車場で順番待ちをしていたところ、若い女たちに割り込みされてしまったのです。
かつてのエヴリンなら泣き寝入りをしていたところでしょうが、勇敢なイジーとルースの物語に感化され、ホルモン補充療法で絶好調な彼女に怖いものはありません。
駐車してある割り込み女の車に何度も追突させ、ボコボコにしてやりました。
エブリンは年の功で車両保険に入っているので、彼女の懐は痛まないのです。
家ではエクササイズに励み、食事はこれまでの油ギトギトの高カロリー食から180度変わったヘルシーメニュー。
明らかにエヴリンは今までの自分の殻を脱ぎ捨て、生まれ変わりつつありました。

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ルースの失踪から5年後、町を出ていたスモーキーが戻った日、不幸にもバディは列車と接触する事故を起こしてしまいます。
それでも、幸いにしてバディは左腕を切断しただけで済み、一命はとりとめました。

その月、運命のいたずらか、長雨によって増水した川から失踪したフランクの車が発見されました。
保安官として容疑者であるイジーを逮捕しなければならないグレイディは彼女に逃げるよう忠告しましたが、イジーは真っ向から真っ向から法廷で戦う覚悟です。
果たして、イジーとビッグ・ジョージは逮捕され、ジョージア州の法廷で裁判を受けることとなりました。
検事は女性差別・黒人差別もむき出しにイジーとビッグ・ジョージを罵り、証拠よりも偏見と妄想に基づき論を展開します。
2人が町民会館で芝居を見ていたというアリバイを証明できる者はなく、不利な状況と思われました。
ところが、町の教会の牧師は「正しくはイジーとビッグ・ジョージは3日3晩、教会の信者の集いに出席していた」と嘘の証言をし、2人を助けたのです。
この証言のおかげで、裁判長は「フランクは酔って運転を誤り、川に落ちた」と結論付け、フランクの失踪に事件性は無いと判断されました。
2人は晴れて無罪となったのです。
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エヴリンはニニーの誕生日にホイッスル・ストップ・カフェで看板メニューだったというフライド・グリーン・トマトを調理して差し入れました。
彼女の部屋には壁一面にバラの写真が貼られ、そこには若い時のイジーやルースの写真も飾られていました
ニニーは喜んで懐かしの味を堪能し、やがてルースの晩年について思いを馳せます。

ニニーとエヴリンの友情

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裁判が終わり日常が戻った頃、ルースの体に異変が現れました。
ルースは癌を患っており、そのことに気付いたときにはすでに末期の状態だったのです。
使用人シプシーの献身的な看護を持ってしても彼女の病状を好転させることはできませんでした。
最後の日、ルースは息子バディから野球での活躍を聞き、イジーからお馴染みのトール・テール(ホラ話)を語ってもらっている傍で、静かに息を引き取りました。
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劇的に変わっていくエヴリンに対し、エドも少しは歩み寄る姿勢を見せてきました。
そこでエヴリンはある大胆な提案をします。
自分を変えてくれたお礼にニニーを引き取り、この家で面倒を見るというのです。
ただ、これにはエドも大反対でした。
それでもエヴリンは勝手にニニーを迎えに行ってしまいます。

老人ホームのニニーの部屋は片付けられていました。
彼女が死んだものと思ったエヴリンは亡き崩れますが、実は亡くなったのはニニーの親友で、ニニーはこれで付き添いの必要はなくなったため、施設を退所したのでした。
エヴリンは慌ててホイッスル・ストップ・カフェの跡地へ向かいます。

ニニーの家は老朽化ですでに取り壊され、更地になっていました。
途方に暮れるニニーに、エヴリンは優しく声をかけ、家に来るよう提案します。
ニニーは亡くなった親友がスレッドグッド家の使用人シプシーの妹だったことを明かし、シプシーが亡くなる時に聞いたフランクの死の真相を語りました。

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あの日、バディを拉致したフランクをフライパンで殴ったのはシプシーでした。
彼女はただ無我夢中でフランクを止めただけだったのですが、当たり所が悪くフランクは死んでしまったのです。
シプシー、スモーキー、イジー、ビッグ・ジョージで話し合いをしますが、どう考えても被差別者である黒人が正当防衛になどなるわけがありません。
そこでイジーに名案が閃きました。
フランクの死体をバーベキューにしてしまうのです!
こうして明くる朝、ビッグ・ジョージはいつもと同じように大量の肉を焼いたのでした。
フランクは皮肉にも彼を探しに来た差別主義者の保安官の腹に収まったというわけです。
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司法が機能しない世の中で、イジーはビッグ・ジョージを守るためにあえて自分の容疑を晴らさず法廷に立ったのだとニニーは語りました。
その真相はルースにも最後まで明かさなかったのです。
ニニーは「人生で一番大事なものは親友」だとして、この物語を締め括りました。
やがてニニーとエヴリンはルースの墓に着きました。
そこには書いたばかりと思しきイジーの手紙が置いてあります。
いたずらっぽく笑うニニーに、全てを察したエヴリンが「イジーに今日会えるかしら?」と聞くと、「かもね。」
そして二人はエヴリンの家へと帰るのでした。

考察 イジーとニニーは同一人物なのか?

本作は1920~1930年代を舞台としたイジーとルースの物語と、それについて語らうニニーとエヴリンの現代パートの2つで構成されています。
冒頭でニニーは、自分はイジーの兄であるクレオ・スレッドグッドと結婚した、と言っていました。
しかし、レオナの結婚式でスレッドグッド家が勢揃いしている場面にクレオなる人物は登場せず、その後もいくら待てども名前すら出てこず、結局のところイジーとルースの物語には最後までクレオもニニーも一瞬たりとも現れることはありませんでした。
では、ニニーとは何者だったのでしょう?
それが言わば本作のオチとなっています。
後半、エヴリンが老人ホームのニニーの部屋を訪れたとき、そこにはイジーやルースの写真が飾ってありました。
そして、ラストに訪れたルースの墓にはまだ新しいイジーからの手紙とハチミツが供えられていました。
それに意味ありげなイジーの笑顔…。
つまり、明確な答えは避けているものの、イジー・スレッドグッドとはニニーのことだとしか解釈しようがないのです。

ただ、そうなると幾つか疑問点も出てきます。
ニニーはバディのことを「私も大好きだった」と言っていますが、英語のセリフでは「I have a biggest crush on  him」です。(英語字幕がなかったので私のヒアリングですが)
これはべた惚れとか首ったけの意味合いであり、兄弟間の「好き」程度の表現ではありません 。
ニニーがイジーであるなら、実の兄に対しそのように言うでしょうか?

また、ルースの墓には手紙だけでなくハチミツがありました。
エヴリンが迎えに来る前に、高齢のニニーがどうやって天然のハチミツを取ったのでしょうか?

しかし、広い視点で見ると実はニニーの語る「イジーとルースの物語」もまた、バディやイジーが好んで話す「トール・テール(アメリカ南部及び西部に伝わる民間伝承のホラ話)」となっていることに気付かされます。
神が牡蠣に砂を入れて真珠を作った話や、カモの大群が凍った湖を持ち去ってしまった話と同様に。
したがって物語の整合性は重要ではないし、ニニーの脚色が入っているのもご愛嬌というわけです。
ちなみに、この壮大なトール・テールに実は語り手が主人公その人でした、という素敵なオチがついたのは映画ならではの脚本です。
原作小説である「Fried Green Tomatoes at the Whistle Stop Cafe」では、ニニーとイジーは完全に別々の人物となっています。

感想 トゥワンダ!正義の女神は立ち上がった!

アメリカ南部アラバマ州の伝統料理フライド・グリーン・トマト。
まだ熟す前の青く硬いトマトをスライスし、油で揚げたものですが、こと日本において食す機会は全くと言っていいほどありません。
料理がさっぱり出来ない私としては、ぜひモスバーガーあたりでオニオンフライと一緒に定番メニューにしてほしいと思っております。

さて、その美味そうなタイトルの「フライド・グリーン・トマト」ですが、実は本作においてこの料理は割とどうでもいい扱いです。
単に物語の舞台となるホイッスル・ストップ・カフェの看板メニューというだけなので、別にこれの代わりにバーベキューでもよかったのでは、という気もします。
もっとも、私はタイトルに釣られて本作を鑑賞したので、そういう意味では興味を惹く良タイトルなのかもしれません。

本作が描くのは、差別や偏見と戦う自立した女性たちです。
1920~1930年代の差別と偏見だらけの世の中で、誰も差別せず、「女は大人しく家にいろ」という圧力に屈せず、相手が同性であっても臆することなく恋をする、その姿にエヴリンだけでなく観客も勇気をもらいます。
それにエヴリンの成長がまた良い!
演じるキャシー・ベイツが前年『ミザリー』で主演したことを茶化して「私はもうホラー映画のデブじゃない」というセリフもあったように、前半はミザリーみのあるヤバいデブだったのが、後半どんどん垢抜けて何事にも前向きになっていくわけです。
特に、駐車場で割り込んだ若い女の車を破壊した後、ニニーに興奮して語るエヴリンのお茶目な姿は必見です!
こうしてイジーの精神がエヴリンに受け継がれ、それがまた誰かに伝播していくことも予感させます。
やはりシスターフッドの精神は拡散されなければなりません

また、2023年の今観ると、ニニーの主張も一部では実現できていることを実感します。
ドメスティック・バイオレンスは明確な犯罪と認識され救済機関も設置が進んでおり、ルッキズムは品のない行為と見られています。
栄養失調でしかない不健康なファッションモデルは見直され、より自然な美しさを追求されるようになりました。
やっとのことで性的少数者の権利も確保されつつあります。
後は、ポルノ雑誌に爆弾を仕掛けなくてもよいから、軍事予算が年金に回ると良いですね。

それで、エヴリンが興奮した時に叫ぶのが「トゥワンダ!」なのですが、調べてみたところ、アメリカの地名には出てくるものの、どうやら映画のような用法の言葉としては存在しないようです。
劇中では挨拶として、気合を入れる時のかけ声として、はたまた社会正義の擬人化として様々な使い方をされていました。
現実にはまだまだ黒人差別も女性差別も性的少数者の差別も存在するわけで、アメリカだけの話ではなく、こと日本においても極度のレイシストの政治家や薄汚い言論が跋扈しています。
我々は「トゥワンダ!」を合言葉にあらゆる差別と戦わなければなりません。

それにしても、基本的には心温まる良いお話として作られた本作の中に、突然人肉バーベキューをぶっ込んでくるお茶目さは、私の基準では加点ポイントです。
アメリカの田舎で周囲の偏見と闘う女性主人公の成長を描きつつ、少しばかりミステリの要素もある点は「ザリガニの鳴くところ」と近いかもしれません。(本作の方が古いですが)
いずれにしても、鑑賞後に前向きな気分になれるシスターフッド映画として、特に女性にオススメしたいと思います。





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